インタビュー:西山 恵太さん(キュリオスクール代表/ファシリテーター)

まず最初に取材を受けていただいたのは、株式会社キュリオスクール代表取締役の西山恵太さんです。西山さんはキュリオスクール(https://curioschool.com/)で、小学生、中学生、高校生の”創造力”を育む「デザイン思考」を軸とした体験学習の場を提供しています。(Meet to Leadメンバーの小池が小学校時代に通っていました)。

提供されているものは とても面白いプログラムで、ぜひお話を詳しく聞いてみたいと思い、連絡させていただいたところ、快く受け入れてくださいました!

では、早速質問させて頂きます!

西山恵太

京都工芸繊維大学にて製品デザインを専攻し、その後京都大学経営管理大学院に進学。
その際にスタンフォード大学ME310プロジェクト(デザイン思考を活用した製品開発プロジェクト)に従事。
2011年に株式会社野村総合研究所に経営コンサルタントとして新規事業開発支援や官公庁の政策調査・実行支援プロジェクトに従事。2015年に株式会社CURIO SCHOOLを立ち上げ。

こんにちは、今日は快く受けていただいてありがとうございます。ぜひいろいろ聞かせてください!

こちらこそ、よろしくお願いします。

まず最初に、どうしていまの仕事を選んだのですか?

大学ではデザインを勉強をしていました。卒業後、コンサルタントとしてデザイン思考を活用した新規事業開発の支援や製品開発の支援を行っていたのですが、取引先企業の頭が固いこともあり、仕事がなかなか思うように進みませんでした。

そんな中、もっと若いときからデザイン思考を学んでいれば柔軟な発想ができるのではと思い、試しに中高生にデザイン思考について教えてみました。そうしたら、そちらのほうに手応えを感じたので、いまのCURIO SCHOOLを立ち上げました。

都立大学のキュリオスクールにて

そうだったんですね。

はじめてデザイン思考を知る中高生に、デザインについて教えるとき、 どのようなことに重点を置いてますか?

(※「デザイン思考」とは、デザイナーがデザインを考えるときに使うモノの考え方のこと)

まずテーマに触れて、それについて「考える」ことです。
そして、今度は実際に作ったり、「やってみる」。その後に振り返ることで自分なりの学びを得て、また興味を抱いていくという一連のプロセスがデザイン思考において大事です。


でも、いきなりそのプロセスをやるというのは難しいので、まずはやってみて振り返るくらいから始めます。ただ、その為のやる気が最初は中高生に無かったりするので、やる気を出させたり、やってみる機会を増やしたりすることに、僕達は気を配っています。

デザイン思考のプロセスについて

毎月いろいろなテーマで小学生に授業を行っていますが、どうやって扱うテーマを思いついているんですか?

テーマについては、自分たちの好きな領域をやっているので、考えるのはそんなに苦ではありません。

ただ、気をつけているのは生徒達には社会に興味を持ってもらいたいので、一つの分野からテーマを持ってくるのではなく、色々な分野からバランスよくテーマを持ってくるということを念頭に置いています。

なるほど、そうなんですね。
街を歩いていて思い浮かぶアイデアもあると思いますが、普段どういう目で街をみていますか?

僕は性格が怒りっぽいのですが、基本的にイライラした物事に問いを立てて、改善策を見つけようとするんです。「あれはどうしてこうなの~」とか、「これはどうしてこうなの~」とか。

企業のサービスに関して、納得できない場合は、クレームを入れることもありますが、その場合はちゃんと改善案も一緒に提案します。

ものを見てただ通りすぎるのではなく、問いを立ててみる、ということが大事なことなのですね。

起業してから大変なことが多かったと思いますが、今まで経験した中で一番大変だったことはなんですか?

今も大変ですよ!教育とお金を稼ぐということを両立させるのがとても大変です。

教育は子ども成果が出るまでに時間がかかるから、わかりやすい受験塾などに目が向いてしまい、なかなかお金を出して貰えないです。そこが悩みどころですね。

これから仕掛けていきたいことはありますか?

某私立中高一貫校の中学校で3年間のプログラムをやることになりました。3年間、みっちりデザイン思考を学んでもらう機会を提供します。

あとは、中高生と企業を結ぶプロジェクトを行っていますが、こちらも力を入れていきます。

日々の中で、大事にしていることは?

頭でっかちになって考えすぎずに、ちょっとだけアホになってやってみるっていうことです。やってみないと自分だけの学びは得られないため、デザイン思考でいう「プロトタイプ&テスト」のところを意識しています。

最後に、 何かしたいけれど何をすればいいのか分からないという人に向けてのアドバイスはありますか?

とにかく目の前のことをしっかりやったらいいんじゃないでしょうか。


余談ですが、大学は東京じゃなくて地方の方がいいんじゃないか、という自論があります。
なぜかと言うと東京だと色んなことに目移りしてしまって、中々一つのことに集中することが難しいと思うんです。でも、地方だと自分が学んでいる分野のことに集中でき、本質を探ることができます。

僕も大学時代に「デザイン」という一つのことをとことん追求したことが、いまにつながっていると感じています。
その本質を探る過程が結局他のことにも応用できたりすると思うんです。だからとにかく、一つのことをやり通してみることが大事だと思います。

編集追記:CURIO SCHOOLは毎年夏に、Mono-Coto Innovation(https://www.mono-coto-innovation.com/)という中高生向けのイベントを開催しています。Meet to Leadの岩田と小池も参加したことがあります。

今回の取材のまとめ:

(小池) 僕が感じたのは、自分に合った生き方を選んで、それを実践するということはとても難しいということです。

西山さんは、キュリオスクールを設立するためにコンサルタントをやめたそうですが、やはりそれは大きな決断だったと思います。教育というものは成果がでてくるのが遅いから、中々すぐには自分の会社が成長出来なかったりする訳ですし。

また、これからの計画も十年単位のものになると言っていたように、かなりの時間を費やすことになるため、それも大変だと思いました。

ですが、自分が好きなことをしているのだから、苦とは思っていないのかもしれませんね。

西山さん、取材へのご協力、ありがとうございました!!!

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