インタビュー:春山 慶彦さん(株式会社YAMAP 代表取締役)

自分のあり方について考えることがあります。今受けている教育について疑問を持たず、そのまま教育を受けていていいのでしょうか。

学びの基本は自学自習です。また、人間はその気になれば何からでも、誰からでも学ぶことはできる、反面教師的な面も含めて。もし中学・高校に学びたいものがないのであれば、学校の外に学ぶ場所を見つけるしかない。世界は学校より広いので、学びたいと思える場所や人とは出逢えるはずです。

僕は大学受験に失敗して浪人して有無を言わせず牢獄みたいな予備校に入れられました。そこで勉強ばかりしていてすごく虚しくなったんです。こんなに勉強しても結局は自分のためにしかならない、馬鹿馬鹿しいと。でもここで放棄するのはもったいないので、こういう勉強のしかたはこれっきりにしようと思いました。

大学に入ったら教科書とか机で学ぶんじゃなくて、社会とのつながりから世界を知ろう、物を学ぼうと思ったんです。

すごい深い人生相談をさせてもらいました

春山さんは普段から山に登られてると思うんですけど、山の魅力は何ですか?

山の魅力は無心になれることです。都会で暮らしてると、なかなか無心になる機会はありません。でも、山の中に入って歩いてると、自ずと無心になれます。自分が山と一体化してると言えばいいのか。山を歩いていると、自分が悩んでいたことがしょうもないことだと気づたり、生きる上で大切にしたい車輪の真ん中に気づくことができるんです。
 
都市化している現代において、自然の中で体を動かすことは、大事な営みだと僕は思います。というのも、僕らの体も自然の一部で、地球自体も自然そのもの。都市というのは人間がつくった世界の一部で、すべてではない。広く大きな世界に生かされていることを実感できるのが山なんです。

ちなみに春山さんが好きな山は何ですか?

日本アルプスは好きですね、特に穂高とか白馬とか。地元福岡の山だと、糸島にある二丈岳によく登っています。
今年の夏は「日本の最後の秘境」と呼ばれてる雲ノ平に行ってきました。日本の自然は素晴らしい。改めて実感しました。

雲ノ平

春山さんがYAMAPを立ち上げた時に義理のお兄さんに手伝ってもらったとありますが、自分ができないことをやろうと思った時にどうすればいいですか?

結局、英雄の物語のリーダーって基本的に何もできないんですよ。リーダーの役割は自分だけでなく、周りの人も共感できる「旗」を立てることです。
 
この社会課題は理不尽だから解決したい、こういう社会にしたいからこのサービスをつくりたい。多くの人が共感できる旗を掲げられるか。個人の私利私欲を満たす旗であれば、今の時代、誰もついてこないでしょう。
 
僕は経営者になりたいとか、起業したいと考えたことはありませんでした。ただ、こんなにも自然が豊かな場所に暮らしながら、自然から離れがちな暮らしになっていることに課題を感じていました。東日本大震災を経て、自然との関わり方や自分たちがどういう風土に育まれているかを経験するきっかけを、登山・アウトドアでつくりたいと思い、YAMAPの事業をはじめました。

起業するときのアドバイスとしては、
・自分が心から信じられること
・それが他者にとって必要かどうか
・それが社会にとって必要かどうか
この3つが重なる場所を見定め言語化することができれば、共感度の高い事業になり得ると思います。

YAMAPの仕事で大切にしていることはなんですか?

自分の生命に宿る「神様」というか、お天道様に対して恥ずかしくないことをするという思いでしょうか。
 
また、事業は困難がつきものなので、何があっても悲観せず、乗り越えるべき試練ととらえるようにしています。
人生も1つの終わりのない山登りだと思います。

春山さんが一番影響を受けた言葉は何ですか?

ジョセフ・キャンベルさんの“Follow your Bliss.”という言葉です。僕はこの言葉を「生きる歓びに素直になる」と解釈しています。

多くの質問に答えてくださってありがとうございます。
最後に今の中高生に向けてお願いします。

人間として生を授かったことは、本来幸せなことです。近年、原発事故や度重なる自然災害など社会課題が山積していますが、どんな時代であろうと、人生は生きるに値する。
 
一度しかない人生、困難や悲しみもひっくるめて丸ごと楽しみたい。そして、楽しむだけでなく、少しでもいい社会を次の世代に引き継いでいきたい。僕はそう思って生きています。

最後に春山さんのおすすめの本をたくさん教えていただきました!

春山さんのおすすめの本・漫画

  • 浦沢直樹、勝鹿北星、長崎尚志「MASTERキートン」
  • 岩明均「寄生獣」
  • 星野道夫「旅をする木」
  • ジョーゼフ・キャンベル「神話の力」
  • パウロ・コエーリョ「アルケミスト」
  • 色川武大「うらおもて人生録」

まとめ

(葉山)今回のインタビューでは今の時間(中学生、高校生の間)をどう過ごせばいいか、自分が世界とどう言うふうに関わっていけばいいかなど、たくさんの考え方を吸収できました。あまりにも多すぎて自分の中で消化するのに時間がかかりそうなくらいです。自分はちっぽけで世界は広い、確かに当たり前です。僕はこの広い世界で、自分の中の神様に恥ずかしくないように生きたいです。最初にも書きましたが僕はYAMAPのユーザーで、Meet to Leadを始めることを決めた時から、春山さんにはインタビューをしたい!と思っていました。その夢が叶った嬉しさ、たくさんの考え方を吸収できた経験、きっとときめきになっていくと思います!

春山さん、今回は取材へのご協力、本当にありがとうございました!

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