インタビュー:春山 慶彦さん(株式会社YAMAP 代表取締役)

僕たちは発展途上国の子供たちに識字教育を届けるためMeet to Leadというプロジェクトを立ち上げ、素敵な生き方をしている大人の方にインタビューしています。

今回は株式会社YAMAP(https://yamap.com)の代表取締役の春山 慶彦さんにインタビューをさせていただきました。

YAMAPは2013年に起業したベンチャー企業で、近年盛り上がる登山ブームの中、登山・アウトドアを成熟させる、情報技術により安心安全に登山・アウトドアを楽しめる仕組みを作る、登山・アウトドアを通じて地域経済に貢献するという目標を掲げ、テクノロジーと自然をつなぐサービス、「YAMAP」を運営しています。(YAMAPはメンバーの葉山がいつも利用させてもらっています!)

YAMAPの事業についてや、どのようにして人生を生きるのがいいのか聞けたらいいと思っています。

それではインタビューに移ります!

今日はよろしくお願いします。まず最初にお聞きしたいのですが、今回のインタビューを受けてくださった理由は何ですか?

若い人は社会の宝です。小中高生からのお願いは基本的に断らないようにしています。反面教師的な意味も含めて、こういう考え方もあるんだと、若い人にとって何らかの刺激になれば嬉しいです。

現在、都市部では核家族化が進んでいて、小中高生が家族とか先生以外の大人に会う機会が減っていると感じています。親や先生以外の大人に出逢う機会をつくるのは社会インフラとして必要な気がしているので、引き受けました。

春山さんは大学時代にボランティア活動を、大学卒業後はアラスカに行ったように、「やりたいこと」をやってこられたと思います。
やりたいことをする良さとは何でしょうか?

自分の人生に悔いを残さないことでしょうか。生命は与えられたものですが、人生をどう生きるかは、自分で決めなければいけません。自分で決めた以上、言い訳などかっこ悪いことはできないし、懸命にやるしかない。生き方の態度として、能動的になることも、やりたいことをやることの良さだと思います。

前に「自分探し」という言葉が流行りました。僕は「自分探し」は呪いだと思っています。「自分探し」にこだわったら、どつぼにはまってしまう。というのも、自分なんか探しても、世界中どこにもない。むしろ、広く大きく生きていくためには、自分なんかなくしてしまった方がいい。その方が楽しく生きられる。

自分探しというのは、自分から矢印が出て自分に戻る営みだと僕は捉えてます。だから、世界中をいくら旅したって、自分にしか矢印が向いていない人は、自分の器や自分の考え以上に大きくなりません。

矢印の起点は自分でも、向かう先は他者であり、社会であり、世界であるべきです。矢印が外に開かれていれば、自分の頭の中より世界は広く、生きることはおもしろく、不思議に満ちていることを実感できるはずです。 でも、小さな自我にこだわって矢印を自分に向けたままでいると、いつまで経っても生きるのは辛い。旅や登山などの自然経験を通して、自分の生命を外に開くことが何より大切です。

「生き方の車輪」制作者:Hiro

春山さんは大学に最初の一ヶ月で失望したとありましたが、春山さんが学びたかったことは何ですか?

学びたかったことは、人間とは何か、生きるとは何か、社会とは何か、という根本的なことです。でも、大学の教育にはそんなことを教えてくれる場所はなかった。過度に期待していたこともあって、大学には本当に失望しました。

大学がおもしろくないのであれば、自分でおもしろいと思える場所や人に逢いに行くしかない。社会こそが自分の大学だと思い、社会との接点をつくろうと、バイトやボランティア活動をしながら、時間を見つけては自転車や徒歩で旅をしました。

生き方や職業選択に関して、僕はいつも「車輪」をイメージしています(下図)。職業や社会的地位というのは車輪の外側です。車輪の外側に自分の価値を合わせて生きていると、時代や社会の価値が変わる度にクルクル動いていくので、振り回されてしまい、すごく大変です。
逆に車輪の真ん中は、時代や風潮がどんなに変わろうとほぼ変わりません。なので、車輪の外側ではなく真ん中を掴んで生きていく方がいい。

車輪の真ん中とは、自分が心からやりたいこと、生命がときめくことです。何が自分に向いていて、何をしているときが生命がときめくのかを知るのは、結構難しい。そのためには、三日坊主でもいいから何でもトライすることが大切。意味より経験。行動し経験を積めば、次にやりたいことや自分に合っていることなどが自ずとわかってくる。
今の時代は情報と意味があふれ過ぎていている。経験する前に調べたりしてわかった気になる人が多いと思うのですが、自分なりの意味は、自分で経験しないとわからない。同じ山であっても人によって山の登り方や楽しみ方が違うように、経験も人によっていろんな意味を持つはず。

だから、10代20代の人は、失敗してもいいから、とことん動いてほしい。やりたいと思ったらその衝動を大切にしてほしい。意味があるかどうかなんて、やった後に考えればいい。周りの大人が何と言おうと、自分で経験してみてほしい。「生きてる実感」つまりトキメキワクワクが伴う経験を積み重ねていけば、おのずと自分にとっての「車輪の真ん中」がわかってくる。車輪の真ん中がわかれば、時代や社会や職業がどれだけ変わろうと、悔いのない生き方ができるはずです。

「自分探し」制作者:Hiro

この記事を書いた人